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vol.6  物質たちの悲哀

二酸化炭素君は今日も酔いつぶれています。

「お客さん、そろそろ看板だよ。」

おやじさんの声に、二酸化炭素君はむくっと起き上がりました。

「ここおいとくよ。・・・またくるよ」

建て付けの悪い引き戸を開けて、二酸化炭素君はふらふらと出て行きます。
街はまだ十分にぎやかで、二酸化炭素君にはまぶしすぎる感じです。

「こんな無駄な明かりが温暖化につながるってんだよ。
文句言う前に省エネなりなんなりしろってんだ。
政府も電力消費量のキャップ制とか、実効性のある方策を・・・
ったく、声だけじゃどうにも・・・」

ぶつぶついいながら、ゴミ置き場の前まで来たとき、二酸化炭素君は
気分が悪くなって、その場にしゃがみ込んでしまいました。

どれくらいの時間がたったのかわかりません。
でも、二酸化炭素君は、近くで何かがうごめく音で目を覚ましました。
そして薄暗い中で、目をこらして見た光景を、
二酸化炭素君はその後長く忘れられませんでした。

そこには、薄汚れた服装で、泥まみれになりながら、ゴミの山の中で、
一生懸命何かを探す二酸化マンガン君がいたのです。
いつものおしゃれで、つんとすました二酸化マンガン君から
あまりにもかけ離れたその姿に、二酸化炭素君は声を失いました。

一方、ようやく二酸化炭素君に気づいた二酸化マンガン君は、
驚き、取り繕うかのように叫びました。

「や、やあ、二酸化炭素君!」

二酸化マンガン君は急に何かに気づいたように、手に持っていたものを
あわてて後ろに隠しながら言いました。

「違うんだ。誤解しないでほしいんだ。僕は清掃のボランティアをやってて。
そう、ボランティア。ボランティアなんだよ・・・」

二酸化マンガン君がそういって、逃げるように後ろを振り向いたとたん、
持っていたカバンの中から何かがばらばらとこぼれ落ちました。

それは、使い捨てられた、たくさんのマンガン乾電池だったのです。

「違うんだ・・・。僕はただ、みんなに分別収集を・・。再利用してほしくて・・」

二酸化炭素君は以前聞いた、おじぃの話を思い出しました。


『・・・二郎、なにも二酸化マンガンなんてうらやむ必要はねえぞ。
知ってるか? 乾電池に使われる二酸化マンガンの運命。
同じように乾電池に使われる鉄や亜鉛なんてやつらは再利用されても、
二酸化マンガンは資源的な価値が低いっていう、てめえ勝手な理由で
たくさん廃棄されているんだぜ。つめてえもんだよ。
二郎、覚えときな。物質とか材料ってのは、役に立つ間だけちやほやされるが、
そうでなくなったらただの厄介者なんだよ・・・。』



「二酸化マンガン君・・・」

「このことはみんなには内緒にしてくれないか・・」

悲しそうな声でそういうと、二酸化マンガン君は街の闇の中にそっと消えていきました。

二酸化炭素君は、材料として使われる者の光と影を見た気がしました。
何が正しくて、何が間違っているのか、わからなくなりました。

「・・・チェッコリッサ、ニサンカマンガン、サッサマンガン、ホンマンチェチェ♪」

そう口ずさみながら空を見上げると、あたりはもう少しずつ明るく、
星が一つずつ消えていこうとしていました。

「結局、歌詞の意味がわからない・・」

二酸化炭素君はぽつりとつぶやくと、ゆっくりと歩きはじめました。
今夜は、少しだけ二酸化マンガン君の心をのぞいた気がしました。
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by mokuiku | 2011-05-09 11:52 | 二酸化炭素君

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